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2024年4月、日本がまた一歩破滅に向かって踏み込んでしまったようです(-_-;) なので動乱を生き抜く戦略ブログにシフトしてます。

【ドキュメンタリ―映画『プロミス』】イスラエルとパレスチナ、子供たちの交流…

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イスラエルパレスチナの7人の子ども達が一日だけ一緒に過ごすという企画。監督のB.Z.ゴールドバーグが両方の子ども達と交流しながら彼らの心と置かれた環境を映し描いていく。

 

以下に内容を備忘録としてまとめる。ネタバレ注意!

 

イスラエル側】

 

・ヤルコとダニエル

 

エルサレムに住む陽気で柔軟な思考を持つ双子。B.Zに嘆きの壁に連れていかれて怖がるが「バレーボールで優勝できますように」という願いは壁に託す。バレーの試合では勝てずに敗北の涙を流す。

 

ホロコースト経験者の祖父に「神様を信じてるの?」と冗談半分に詰め寄る二人。

 

・モイセ

 

ベイト・エル入植地に住む彼は、友人をテロで亡くしたこともあってかアラブに対しては強硬派。「ここはユダヤの地だ!」と一歩も引かない。将来はイスラエル軍の最高司令官になってアラブ人を一人残らず追い出したいという。

 

・シュラム

 

父親がユダヤ教のラビで彼もユダヤ教を神学校で学んでいる。パレスチナに対しては「あんな風に土地を奪われたのだから彼らの気持ちもわかる」と発言している。

 

パレスチナ側】

 

・サナベル

 

デヘイシャ難民キャンプに住む明るい女の子。父が2年前に不当逮捕されていて父の話をしている最中に涙で言葉が詰まってしまう。一家でアシュケロン刑務所に面会に行くシーンがあるが、たった30分の面会に4時間バスに乗り更に現地で待たされる。その上、面会は「肉親のみ」と制限されてサナベルは父に会うことができなかった。

ユダヤ人の考え一つでパレスチナ人は難民キャンプや刑務所に閉じ込められてしまう。こんなことは許されていいことではない」と発言している。

 

・ファラジ

 

デヘイシャ難民キャンプの100m走の代表選手。大会では残念ながら2位で悔し泣きする。友人のバッサムが投石したことによってイスラエル兵に射殺されていて、それに対する憎しみが深い。「いつか必ずこの土地を取り返す。傷つけ合わずに平和な国を作る」という意志を持つ。

 

・マハムード

 

エルサレムコーヒー店の息子。検閲があってキャンプの外に出る事ができないファラジやサナベルとは違いエルサレムを自由に歩くことができる。けれど、それがゆえにイスラエル人に対する憎しみが深い。「この土地は絶対にアラブのもの」と主張すしハマスを支持している。

 

B.Z.がアプローチした子ども達の中で、モイセとマハムードは絶対に相手に会おうとはしなかった。イスラエル側ではヤルコとダニエルが自らファラジに会いたいと言い出した。彼らは元々が柔軟な思考を持っている。

 

ヤルコ「仲良くするばいい。アラブ人を追い出すのは間違っている。国を奪い取ったのは僕らの方なのだから」

 

ダニエル「戦争やテロで人が死ぬたびに無意味に殺し合ってバカみたいだと感じるんだ。お互いに苦しめ合うだけなのに。戦争の勝者って誰のこと?殺し合ってなにが勝者さ? 両方とも敗者だよ」

 

最初はユダヤ人と会うことを拒んでいたファラジだが、電話でイスラエルの双子と話をして彼らの興味を抱く。結局、双子がデヘイシャ難民キャンプを訪れることとなった。パレスチナ側はファラジとサナベルのグループ5人。その中にはイスラエル兵に射殺されたバッサムの兄も居た。

 

7人はあっという間に意気投合して、一緒に過ごす時間を心から楽しんだ。

 

 

別れの時間が近づき話題が政治的な話になったとき、ファラジが泣きだした。「B.Zはむすぐアメリカに帰ってしまう。そしたらダニエルやヤルコと仲良くなったこともきっと忘れていくんだ」と。

 

それから2年経ち、成長した子ども達の姿が映し出される。それぞれの主張は大きく変わってはいないけど、私は、双子とファラジの間の距離が開いたのを感じて寂しい気がした。

 

この映画の制作は2001年、今から22年前。一番気になるのは彼らが今どうなっているのか。年齢にして30代後半だと思うが、まず無事であってほしい。ハマスイスラエル軍として戦っているなんていう最悪のパターンも考えたくない。

 

この映画でも、ハマスから解放されたイスラエルの人質たちにしても、人々の間のわだかまりなんて元々ないのだと思う。シオニズムがなければ共に友人として共存できる人達が、埋め込まれた「憎悪の念」を増幅させられているだけ。

 

それから、街中に銃を持った警備兵が当たり前に立っているパレスチナの異常な風景にまさに「天井の無い監獄」だと寒気がした。今はそれが瓦礫と死体の山と化している。

 

そして、国際社会は子ども達を見捨てた。