クロノス☆生き残りを賭けた「新メニュー」はじめました

2024年4月、日本がまた一歩破滅に向かって踏み込んでしまったようです(-_-;)

『護られなかった者たちへ』このタイミングだからこそ読んでほしい本がある

「国が国民を餓死させるわけがない」「国が国民を凍死させるわけがない」と信じ切っているあなたにお薦めしたい本がある。

映画化もされているがキャラ設定が原作から大きく変わっていることや、尺の関係で肝心の要素が語り切れていないという点で原作の方が良いという声ば少なくない。

 

原作は展開が面白いので一気に読める。所謂殺人事件の推理小説。だからネタバレしないように「エッセンス」だけ語る。

 

最初は惨殺された被害者に同情して犯人を憎むが、その経緯を知ると被害者たちに同情できなくなるほどの事がこの国では普通に行われている。

 

生活保護申請の却下」という名のステルス虐殺だ。

 

今行われている「現地に入れないから放置」という名のそれと一緒だよ。

 

執筆背景[編集]

2017年12月の時点で受給している世帯が全国で164万世帯あるという生活保護の実像を描いた社会派ミステリー[1]宮城県警捜査一課の刑事である笘篠誠一郎と、元模範囚の利根勝久、2人の目線で[6]物語は並行して進展していく[1]

出版社側から、仙台を舞台にした物語を書いてほしいというオーダーがあったため、テーマはすぐに決まったという[7]。そのうえで著者の中山は、国が予算のために生活保護受給者の調整や申請を却下する〈水際作戦〉や[8]、受給する側の〈不正受給〉など生活保護の実態について「人並みには怒ってますよ」とは述べつつも、本作は決してそれを主張するためのものではなく、様々な問題を知ったうえで、役所側の職業倫理や公私の葛藤についても考えられるよう配慮し[9]、2016年1月から執筆を開始した[4]。 

 

 

簡単に説明すると、社会保険料の削減で「生活保護受給者」を減らすことが国策となり、厚労省が指令を出し、福祉事務局はそれに従うしかない。もちろん不正受給を暴くことは大事だが、本当に必要な人たちまで弾かれていく。情で受給申請を通しても、保護率が高い自治体は厚労省につるし上げられる。2006年にとても優秀だと評価されたのは北九州市だった。

 

その結果がこれだ ↓

 

yomidr.yomiuri.co.jp

 

最後の「おにぎり食べたい」と書き残して亡くなった52歳男性のケースが有名なようだが、彼は「生活保護辞退」とされている。

 

小説を読めばわかるが、「自分たちが却下したのではない」と思わせる手法が色々ある。例えば書類が非常に複雑で高齢の申請者がわけもわからずに提出すると「書類に不備がある」という理由で受け付けない。再度書き直して持って行くと「再申請は受け付けないことになっている」と弾かれる。

 

20年間音沙汰のない身内が居るという理由で「この人に頼ればいいじゃないですか。兄弟なんだからなんとかしてくれるでしょ」と却下。20年みつからなかったものが困窮者にみつけられるわけがない。

 

「財産がないことを証明しろ」という。「あるもの」の証明はできるが「ないもの」の証明なんかできない。

 

おにぎりのケースの方はこういう形だったようだ ↓

具体的に働くメドが立っていないのに、就職先、勤務条件、収入などを確認しないまま、辞退届を提出させたのです。

健康状態・労働能力の評価では、医師の意見が決定的な影響を持ちます。Bさんの場合、主治医はうつ状態と見ていたのに、ケースワーカーが勝手に「普通就労可」にしていました。

 

こういう風に辞退に持って行く手法を「硫黄島作戦」というらしい。こんなネーミングがある時点でもう人を人と思っていない。死のうが苦しもうがとにかく「支給率」を減らすことしか考えていない。だって国策なんですもん。

 

ただし、ケースワーカーのすべてがこういった鬼のような心の人達だけではない。貧困に苦しむ人に寄り添いなんとかギリギリのところで折り合いをつけようとする心あるケースワーカーの姿もこの小説では描かれる。諸悪の根源は「国」なんだ。(この人物は実はストーリー上のキーパーソンなのだが、著者はこういう人も居るんだよ、という意味合いでこの設定にしたのかな、と思っている)

 

それから、餓死で多いのは「脱水」らしい。インフラは電気やガスが最初に止められて最後が水道らしいが、水が飲めなくなったら人間の命は持たない。水道が止まるのが遅いのはまだ温情があるのだろうが、水道が民営化したらこうはいかないだろう。

 

水なら公園にもあるじゃん、と思うだろうが、飢餓状態になると気力も失われてそういう行動すら取れなくなってしまうらしい。

 

こういった話が今はすべて石川の被災者の方たちに被ってしまう。本来なら国が動かなくても民間の力である程度はなんとかなるのだろうが、現地に入れないようにするというおかしな水際対策を取っているので心配だ。生活保護の申請を却下されて放り出された人達と変わらない。

 

現地に入れない理由が原発ならこの先も国は動かないが、それ以上に「生活保護申請却下」と同じ目的でやっているのなら恐ろしい。このところ政府はあらゆる方向に「人工削減計画」を遂行しているようにしか見えないのだが、まずは自分達が減ってくれないか? ごっそり減っても何の支障もないほど無能だから後のことは気にしなくて良い。

 

「国は国民を守ってくれる」なんて本気で信じているのなら、まずはこの本を読んで実像を知るべき。推理小説としても秀逸で一気に読める。図書館にも蔵書があると思うので是非! 最後に「護られなかった人たちへ。どうか声を上げてください。恥を忍んでおらず、肉親に、近隣に、可能な環境であればネットに向かって辛さを吐き出してください。」という文章がある。前後の脈絡から泣けるところなんだけど、この言葉は今の石川の被災者の方たちに必要な言葉だと思う。