第4章 本当は怖いスマホ決済
日本は2020年の時点でキャッシュレス決済率3割の現金大国だ。この状況を嘆き、アジアのキャッシュレス大国を大絶賛するのが竹中平蔵。だが、それらの国々には日本では大きく報道されない影がある。
キャッシュレス決済一位の韓国では
国民のクレジット利用率を引き上げるための政策(税金対策、小売店のカード決済導入の義務化、レシートに宝くじの抽選番号等)によって、2002年には発行枚数が1億枚を突破した。だが、外資は更に圧力をかける。韓国政府はついに禁断の規制緩和に手を付けてしまう。
キャッシング貸出金額の上限規制を撤廃したのだ。国民は自転車操業的にカードを使いまくったおかげで、景気はV字回復、株価は上昇、外国人投資家にとってもカード決済手数料の拡大という笑いが止まらない状況となった。
しかし、国民は、当然のごとくすさまじいカード借金地獄に陥った。この不良債権が得限界を迎えたところで韓国経済は崩壊するだろう。
韓国に次ぐキャッシュレス社会の中国
こちらは何をするにもアリババのアリペイかテンセントのWeChatPay の登録が必要だ。そして、ありとあらゆる個人情報をアリババとテンセントに吸い取られる。
また、国民の経済生活は「信用スコア」によって左右される。「国にとって好ましくない人間は、普通の生活すら立ちゆかなくなるのだ」という中国政府の言葉通りの社会が到来したのだ。
監視によるサービスソフト SaaS はアメリカに逆輸入され信用調査アプリとしてデビューした。そして、日本ではあの竹中平蔵がマイナンバーと銀行口座を紐づけることを繰り返し提案している。
NTT利権が崩された訳
キャッシュレス化の足を引っ張るからとNTTの照会・決済システムCAFISと全銀システムが叩かれた。
理由は簡単。菅政権のキーマンが竹中平蔵とSBIホールティングスの北尾吉孝だから。二人は中国と関係が深く、要するにPayPayの関係者だからだ。
デジタル給与
なりふり構わずキャッシュレスを推進したのにも関わらず、日本政府の計画は停滞。そもそも、偽札を握らされる心配のない治安の良い国で、更に自然災害大国である日本でキャッシュレスを急ぐ必要などないのだ。
それでもなんとかしたい日本政府は、なんと給与デジタル化というウルトラCを考えついた。これは外国人労働者の雇用も促進できるシロモノだ。(在留期間3ヶ月未満では住民票が取れないため銀行口座が作れない。それでは母国への送金ができない、という問題があったのだが、〇〇ペイなら即送金可能)
こうして外国人労働者が増えて日本人の労働条件はどんどん押し下げられていく。
更に、〇〇ペイには預金者保護法はない。給与になにかあってもどうなることやら。そして、これは地方銀行にとっても大きな打撃となり、地銀はどんどん淘汰されていく。
デジタル化+ベーシックインカム(もちろん信用スコアも絡む)で国民は生きる術を政府に強く依存することになってしまう。信用スコアが下がると給与が止まることもあり得るのだ。
竹中ベーシックインカムは生活保護や年金を廃止してその分の予算を他のことに回すという策。竹中案は「7万円」だった。
第5章 熾烈なデジタルマネー戦争
「デジタル通貨」の青写真が描かれたのは80年代、そして2009年には「ビットコイン」が現れた。だが、発行主体を持たず供給量もコントロールできず、バックに何も持たないビットコインの信用は弱い。
2019年6月、ビットコインの欠点を改良したような理想的な仮想通貨「リブラ」の構想をフェイスブックの創設者マーク・ザッカーバーグが発表した。
これは当然のごとく集中砲火を浴びて潰された。アメリカだけに都合の良い「金融システム」を脅かすことになるからだ。しかし、リブラに対する恐れが逆に世界をデジタル通貨発行の方向に大きく動かしてしまったのだ。
また、「アメリカのドル支配から逃げ出したい国々」もデジタル通貨に注力している。
中国はドル決済のSWIFTの代わりにCIPS(人民元クロスボーダー決済システム)を立ち上げた。CIPSに参加する銀行数が最も多い日本は、スーパーシティ+一帯一路+RCEPでデジタル人民元の国内利用が始まる。
インド、韓国、EUもそれに続き、やがてはクラウス・シュワブのグレート・リセット計画のコンセプト「グローバル統一通貨」に行き着くだろう。
ATMはどんどん撤去され現金もどんどんなくなっていく。そして、10年以内に体内への埋め込み型マイクロチップによるクレジット決済が当たり前になるだろう。
第6章 お金の主権を手放すな
キャッシュレス大国スウェーデンのアンケートで、7割近くの人々が「現金という選択肢を残したい」と回答している。
「通貨が完全にデジタル化されたら、システムを止められた時自分を守る術がなくなる」というのが理由だ。
スウェーデンだけではなく「現金を守ろう」という動きは世界中にある。それなのになぜ現金だけがやり玉にあげられるのだろうか。
2024年にタンス預金が没収される?
終戦直後の1946年、戦後の復興のために国は預金封鎖を行った。
「預金封鎖」の通達を聞いて国民が慌てて銀行から引き出した現金は次なる手で紙屑となった。政府がお札を新デザインに切り替えたためだ。銀行で新しいお札と交換しないと使えない。こうして政府は国民のタンス預金を引っ張りだして資産を明らかにし、そこで10万円を超える預金に財産税をかけた。
資産総額が大きい人だと90%の財産税をとられ富裕層は一網打尽。こうして財閥は解体されていったのである。財産税を取られないために預金を引き出すことを想定して政府は「1ヶ月の引き出し限度額300円」という手を打っていた。引き出すこともできないまま財産の多くを没収された人々。
この苦い経験から日本人は家の中に現金を置いておく傾向が強く、タンス預金は101兆円と言われている。日本政府はこれをあぶり出したい。1946年と同じことが2024年の新札切り替えのタイミングで起きる可能性が指摘されている。財産税など、新札と旧札の交換レートの調整で簡単に徴収できるのだ。
もちろん今のままの憲法では財産税は違憲だ。今のままの憲法では。
そう、改憲後の緊急事態条項はこれを可能にするのだ。
更に、デジタルマネーにしてしまえば市中に出回るお金の量が把握しきれなくなるため財産税徴収は容易になるのだ。(国がわざと市中にお金を大量に流しインフレを起こすことが可能になるので)
高齢者を狙うデジタル訪問販売詐欺
2021年6月9日、田村正和氏の訃報一色の報道の裏で国民が知らない間に国会を通過したのが「改正特定商取引法」だ。これによって契約書を紙で渡すことの義務が外される。
デジタルに疎い高齢者は簡単に詐欺に遭うだろう。施行まではまだ時間がある。知って、伝え、声をあげてほしいと筆者は訴えている。
韓国と手を組んだゆうちょ銀行の信用スコア
日本では知られていないが、韓国大手の新韓銀行とゆうちょ銀行は小売金融・デジタル分野で新しいビジネスモデルを開拓する業務協約の覚書を交わした。(2021年5月27日)この新韓銀行の株式の51%は外国資本だ。韓国はウォール街の「金融植民地」と化している。ゆうちょ銀行の顧客は情報が韓国に流れるリスクを負ったのだ。
こんな時代だからこそ、守るべきはキャッシュレスで多大な負担を背負う地方銀行や地元の信用金庫なのだ。
デジタル世界が一つの通貨で統一される、「通貨リセット」が、GAFAが支配する仮想空間の無法地帯と結びつく前に、目前の利益に目が眩み変節した「今だけ金だけ自分だけ経済」を、世を治め民を救う、真の「経世済民」に戻さねばならない。