【シロ宣伝部長、新著とともに再登場】
— 高橋美香 (@mikairvmest) 2023年1月23日
写真絵本『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』が発売になりました。
版元のかもがわ出版のサイト(購入も可能)https://t.co/2cQFHFREG5
オンライン書店各社や各書店の在庫などもコチラから(版元ドットコム)https://t.co/BwXKqHyW6j#ママとマハ pic.twitter.com/x3TaAH28qu
高橋さんのことはXで知った。20年に渡ってパレスチナで居候取材をされていた方。それだけに今のパレスチナの現状にはどれほど心が痛いのか想像もつかない。
【バスマという名の女性(ママと呼ばれる)】
パレスチナはイスラエルの占領や爆撃がなくても、みんなが豊かで幸せという暮らしができるわけではないようだ。畑を耕して、ヤギの放牧をして、養蜂をして、十人の子ども達を育てて…そんな日常は大変だけど、一日一日に感謝して暮らしていた。
そんなある日、いきなり分離壁ができて土地が奪われた。
反対運動をする人達が逮捕されたり撃たれたり…仕事に出る家族を送り出すことすら不安な日々となった。夫婦で働いて少しずつ建て増しをした小さな家での幸せな日が続くことを祈っている。
【マハという名の女性】
彼女は難民キャンプに嫁いだ。夫のイマードは何度も連行されて寝たきりとなった。彼女は小学校しか出ていないので仕事も選べず、日雇いの農作業の現場などで必死で働いた。
ママとマハは美香さんを通じて知り合った。といっても電話での会話だけど。その電話でマハは美香さんに「夫のイマードが亡くなった」と告げる。「ようやく天国で安らぎを得られた」と。
【マハ】
喪が明けるまで外に出られず収入が途絶えたが周りの人の心遣いでなんとか収入を得ることができた。嬉しいことに長男のカマールに初めての子どもが生まれてイマードの名がつけられた。「まるで、失われたなにかをつなぐように」
【ママ】
オリーブの収穫の時期が来て、四男のハムディと孫のヤジードが大活躍。けれど彼女は糖尿病の悪化で目が見えなくなってしまった。夫は長男ハミースの結婚のために家畜を全部売り払い、仕事を失って体調を崩してしまった。
【マハ】
次男ムハマドの親友マジドがイスラエル軍兵士に射殺された。そして、戦闘員になったハムザも殺された。自分が死んだら難民キャンプのみんなにチョコレートが配られるように手配をして…。長男カマールの親友カイスは戦闘員となり地下に潜り収監された。
美香さんの提案でマハの息子たいは裏庭にオリーブの木を植えた。「実をつける木々、畑の実り、家畜の恵み、そういうものをほんとうに必要としているのは、それらを奪われ、親しむ機会を失ってしまった難民のひとびとじゃないか」と美香さんはママに話したという。
それから数年。木々は実を付け、にわとりは毎日卵を産み、カマールの子ども達も成長した。そしてムハマンドは大恋愛の末に結婚した。
けれど、カマールは幼い子供たちの前で連行され、ムハマンドは暴行を受けた。
そして、ママが神の身元に迎えられる日が来た。
最後のページ
美香さんとマハとママ、「三人でお茶を飲もう」という約束は果たされなかった。そして、美香さんは映像の中でイスラエルの侵攻で射殺されたムハマンドの遺体を見る事となった。
「占領・封鎖・入植・人権侵害」の中でひとびとの営みは続いていて、その営みがどんなものであるかが報じられることは少ない、と美香さんは言う。この本によって、少しでもそれに触れることができるのは大きいと思う。
家族が殺されたり連行されたり、それがいつ起きるかもわからない日々。その日常の中で生きている人々。親友を殺されて、大恋愛の末結婚して、連行されて、デモに参加して、そして射殺される…これがパレスチナの青年の日常。
ガザの一生 pic.twitter.com/HDj2Ei7G40
— 宋 文洲 (@sohbunshu) 2023年11月17日
知って何ができるわけではないが、多くの人が知ることで「バタフライ効果」がいたるところで起きることもあるかもしれない。そういう希望は持ち続けたい。