さて、微力を尽くしてがんばるコーナーです(-.-)
前回のまとめはこちら↓
「マネタリーベース(特に日銀当座預金)を異次元のペースで増やせば、実質金利が下がって、民間銀行の貸し出しが増えて、マネーストック(世の中に出回っているお金の総量)が増える。物価が上がると予測するので上がる前にみんなが買おうとするから消費も増える」……という話でしたね。
第2章では、ホントにそうなったの? というところに突っ込みます。
まず、実際にマネーストックが増えたかどうかのグラフが登場します。
その前に、マネーストックについての予備知識。マネーストックは4種類あるのですが、ここでは「現金通貨+全預金取り扱い銀行に預けられた預金」を意味するM3が使われています。
どうです? 「なんとなくM3も伸びてるみたいだけど…マネタリーベースもそこまで跳ね上がってないようだし…」と思えなくもないグラフですよね。(ちなみに2017年出版の本なのでグラフはここまでしかない)
さて、そのなんとなく誤魔化しちゃってるモードを今から明石氏が「指数化」という技を使って解除しちゃいます。
「指数」なんていうと難しそうだけど、単に「ある年の数字を100として計算しなおした数字」のこと。次のグラフは2012年の数字を100として計算しなおしたもの。
ジャーン!(^^)! どうよ?
マネタリーベースがとんでもなく跳ね上がってるのに、M3も貸し出しも全然増えてないΣ(゚Д゚) これが「真の姿」なのだ。
このグラフをよく見ると2001~05年までマネタリーベースが上昇してるのわかります?実はこの時「マネタリーベースを増やす政策」をすでにやっているのです。それで意味がないとわかったはずなのに、なんでまたやった? アホなの? と思いますよね。
なんとこの時リフレ派は「緩和が中途半端だからダメだった」と判断したそうな。緩和の規模が小さいからインフレ予想が起きなかった、ということで「そうだ!異次元の金融緩和やろう!」という話になったそうな。(やっぱりアホやん;)
リフレ派の大御所クルーグマンも「需要の弱さは本質的に永続的な状況のように見える」と認めちゃってる。つまり今も今後もやっても無駄ってことだよね。「食欲がない人の前に、思いっきり食べ物を積み上げるようなこと」をやってるわけ。
さて、ここでマイナス金利の説明が入ります。このB-partでまとめた藤巻氏の記事にもマイナス金利の話は出てくるし、知っておいた方が良いので引用しておきます。(複雑な話なので下手にまとめない方が良いかな、と)
民間銀行は法律によって、自分が受け入れている預金のうち一定の割合を日銀の当座預金においておくことが義務付けられている。これは預金の引き出しに備えさせるためのものだ。そして義務付けられる最低限度の金額を法定準備預金額という。
さらに、その法準備預金額を越えて預けた分は超過準備額という。マイナス金利はこの超過準備額の一部にマイナス0.1%の金利を付けるということだ。
つまり、民間銀行が貸し出しをしなければ日銀に罰金を取られるようなもの。日銀に置いておくだけでお金を取られるなら貸した方がいいけど…需要がないから貸すに貸せないという話。民間銀行も辛いよね(´Д⊂ヽ
次に物価上昇の話だが、ここはグラフ等の紹介は割愛して簡単にまとめます。
2014年の消費者物価指数は前年比3.3%も上がっている。この年は消費税増税があったのだが、その影響は2%。では、残りの1.3%はなんだろう? 答えは為替相場の影響。円安の進行に伴って物価が上がっているだけ。
なぜ円安だと物価があがるの?
まず、輸入する物の価格が上がる。1万ドルのものを輸入するとして、1ドル=100円ならは100万円用意すればいい。けど、1ドル=200円になったら200万円用意しなければならない。
輸入したものを加工して国内で売るにしても原材料費が上がった分を反映させないと儲けがでない。当然物価は上がる。
なぜ円安になったの?
「異次元の金融緩和によって円が安くなる」と投資家が判断して円を売ったから。結局、異次元の金融緩和が動かしたのは投資家だけ。
暦年データで見ると、物価は3年間で4.8%上がったが、うち2%は増税、残る2.8%は円安によるもの。円安だけで年2%ずつ物価を上げていくことは不可能。
次の第3章では、アベノミクスが「消費」に関してなにをやらかしてくれたのか、という話です。