こちらの書籍の序章と第一章をまとめます。
序章 「クワトロ・ショック」が日本を襲う
日本は野菜や鶏卵の自給はできているが、野菜の種の9割が輸入、鶏のエサとなるトウモロコシはほぼ100%輸入に頼っている。警告されている「世界同時多発食料危機」が深刻化すれば壊滅的な状況に陥る可能性がある。
また、購買力のない日本は「食料・肥料争奪戦」で買い負けて輸入品が入ってこない可能性もあるのだ。
原油価格が上がったことでバイオ燃料の需要が高まり、その原料となるトウモロコシや大豆の需要が高まったことも食料危機の要因となっている。
この状況下で日本政府には「食料安全保障」が存在せず、「国産振興」をすべきなのに逆に農家にコメや牛乳の減産を要請しているのだ。農業に関しては「輸出振興」と「デジタル化」が目玉の政策であると岸田総理大臣は語っている。
第一章 世界を襲う「食の10大リスク」
世界とあるけど内容は日本に関するもの。説明が必要な部分だけまとめます。特にリスク6~8のハイエナの話が重要です。
リスク1:ウクライナ戦争で直撃した穀倉地帯
リスク2:国力低下の日本を中国の爆買いが直撃する
リスク3:技術実習生に頼る日本の農家はコロナで実習生がいなくなったことで仕事を回すことができなくなった
リスク4:異常気象
リスク5:「原油価格高騰」で農家がつぶれる
原油の価格が上がると、燃料コスト、光熱費、物流コスト、とあらゆる生産活動に影響が出る。農産物の価格を決定する上で農家よりも大手小売りチェーンの力が強いため、日本の農家は農産物の価格を上げることができず買いたたかれてしまうのだ。時には作ったコスト以下の価格で売ることもある。
リスク6:世界の「食」を牛耳る「多国籍企業」
日本は標的。全農はアメリカのニューオリンズに「全農グレイン」という子会社を保有している。ここで遺伝子組み替えではない穀物を分別して日本に輸入している。それが穀物メジャーには非常に目障りなのだ。
更にこの全農グレインは世界一の船積み施設を持っているため、穀物メジャーは買収したくて仕方がない。しかし、協同組合であるため買収することができない。
そこでアメリカは日米合同委員会で日本政府に「全農を株式会社にしろ」と要求。
日本のメディアがさっそく「全農批判」を始めた。「全農は既得権益者だから株式会社にしてしまえ」という論調で。
かつて農水省は財務省や経産省と対等の関係だった。しかし票田だった農家が減ったこも影響し、財務省:経産省の主張ばかりが通る構造が作られてしまった。
第二次安倍政権のとき、内閣人事局が誕生した。これにより各省庁の局長以上の人事権を官房長官が握った。つまり、官邸は反対派官僚を全員首にできるということだ。これによってTPP反対派の農水省は力を失ったのだ。
リスク8:「今だけ、カネだけ、自分だけ」の「新自由主義者」が農業を破壊する
TPPからアメリカは離脱したが、日米二国間の「サイドレター」は存在し、当時の岸田外務大臣が「自主的に実施していく」と答弁している。日本の政治家はアメリカの意向には絶対に逆らわない。生命すら危ういと思っている場合もある。
食料自給率を上げて国民の命を守ることは、アメリカからの輸入を減らすことを意味するのでそういう方向性の政策はやろうとしない。TPP反対派の農水省と農協は推進派から猛攻撃を受けたのだ。
日本の農家が全部潰れても、儲かりそうなところだけ自分たちの会社で持っていればそれでいい、これが今の日本政府の農業政策の現状なのだ。
リスク9:「農業生産」の限界が近づいている
食料の生産には大量の水が必要で、食料を輸入するということはこの水(バーチャル・ウォーター)を輸入するのに等しい。だが、世界は深刻な水不足に直面している。
日本のような水資源豊富な国が水不足の国から貴重な水を浪費する結果になるため倫理的な問題もあるし、そういった国々の生産がいつ止まるかわからないというリスクも存在する。
リスク10:「食の安全」が蝕まれている
この問題は第三章で詳しく書かれている。ここで覚えておきたい言葉はコーデックス基準。農産物に使える農薬の種類や量についての国際的な基準だ。
しかし、実際には検査はザル。日本国内では使えないはずの「成長ホルモン」が実質的に輸入されている。現地では危なくて食べないものも「日本向けだから問題ない」と輸出してしまうという構造ができている。
一気にまとめても読む気がしないと思うので、少しずつまとめていきます。多くの方に知っていただきたい話ですし、きっちり噛み砕いていただきたい。話題の本なので図書館にあると思いますが…待たないと借りられないかも。(私は2カ月ほど待ちました)
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