これをよく見てね ↓
青の給水ポンプを通る循環系は核燃料に触れる水。これがまったく外部と触れていないことは見ればわかると思います。絶対に外部に出してはいけない危険な水です。
その青の水は高温沸騰で蒸気になる(300℃まであがる)ので、それを水に戻して循環させるために冷やさなくてはなりません。そのお仕事をするのが右の復水器です。
さて、その復水器に緑の水の循環系があるのがわかりますよね。これは純粋な海水(ところによって河川の水)です。核燃料なんてまったく関係ないところの存在です。だから、熱を取る仕事を終えると海に戻るのです。
熱を取る原理は「ペットボトルの熱いお茶をすぐに冷やしたい時に何をするか」を考えるとわかるでしょう。ボウルに水を張ってその中でペットボトルを冷やして熱を取りますよね。ペットボトルの水とボウルの水はまったく干渉しません。ボウルの水にお茶が混じることなんてないのです…通常の状況では。
けれど、福島の水は「通常の状況の水」ではありません。
核燃料に触れた水です。つまりお茶が混ざりまくったものを捨てるので「ボウルの水」とはまったく違います。
さて、次におまえはこう言うだろうw
「だったら海外の水になんでトリチウムが入ってるんだよ!!」と…
これは、少々化学の話が入るのでみなさん引いてしまうのですが、そこで理解しないまま「安全」「安全じゃない」の議論が始まってしまうからカオスなんですよ。
ちなみ、化学と言っても私が理解できる程度のものなのでそう難しくはないです。なにせ高校の時、化学のテストで12点取って先生に呼び出しくらった人なんでw
こちらがわかりやすいかな↓
トリチウムは基本的には水素です。水素には中性子がないのですが、そこに中性子がつくと違うものができあがります。それを「同位元素」といいます。「放射性同位元素」ってよく聞くでしょ? 知ってるとちょっとカッコいいんで覚えておきましょうねw
で、なぜ核燃料に触れない緑の循環路の水にトリチウムが入ってるのか…ですが…
緑のパイプのH2O(水)は「H」があるので中性子が飛んでくるとくっついちゃうんですよ。Hに中性子が2つくっついてトリチウムになってしまうのです。
「だったらなんでその辺の水からはトリチウムが出ないんだ?」と思いますよね。
飛んでくる中性子がお隣の原子炉から飛び出してくるからです。お隣が「核分裂」というお仕事をしているから「中性子」が生まれてくるのです。そんじょそこらの水回りではあまり核分裂してないのでw
中性子は壁を突き抜けます…というか、正確には小さな小さな素粒子なのでそもそも壁など存在しません。だから緑の循環路のパイプにも平気で飛び込みます。しかも、核分裂すると1つの中性子が2つや3つに増えて、それが繰り返されるので中性子の数はんぱないんですわΣ(゚Д゚)
それがHにくっつきまくるから緑の循環路の水からもトリチウムは生まれてしまうのです。
ただし、海外の排水にあるのはトリチウムだけです。福島汚染水の問題はトリチウム云々ではなく「トリチウム以外の恐ろしい核種が混ざっている」ことです。むしろ、トリチウムは危険度が低いから前面に出している謂わば「スピン(目くらまし)」です。
もし、「海外もトリチウムを放出している」ということを安全の主張とするならば、福島の汚染水にトリチウム以外のなにものも一切混ざっていないということを証明してからの話です。(けれど、それは既に東電のデータで否定されてますよ)
元化学12点の身としては、「わからない」という状況が手に取るようにわかるので、できるだけ簡単に説明してみたつもりですが…
それから、
前職で「科学的なことを科学オンチの人達にわかっていただく」という難儀なことを延々とやっていたので、その時培ったことを活かせるかなと思い、「小学生でもわかる」シリーズを原発とアベノミクスでやってみようかと考えています。